Spring は、日本で初めて法人化された性暴力被害当事者を中心とした団体で、性被害の実態に見合った刑法性犯罪規定となるよう、被害当事者が自らの体験を伝え、政策を提言していく活動を行っております。私は被害当事者として2018 年からSpring のメンバーとなり、キャンペーンやロビイングなどの活動をしています。
「性暴力はなぜ『暴力』なのか」について話していきます。私は心理職として心理の境界線という概念で考えます。境界線は、自分が安心と感じる領域を守る線です。例えば「シャープペンシルを貸して」と言って、「いいよ」と言われて借りるのが普通です。貸すか貸さないかは持ち主が決めていい。性にも境界線があって、いつ、誰と、どんな性的行為をするか、自分で決めていいはず。自分の意志や感情がないがしろにされると、安心や安全が脅かされるということです。子どもの頃から性の境界線が侵害されていると感じています。スカートめくりやズボンおろしを多くの人が覚えています。それで傷ついても、「気にしないで」「いたずらだよ」と言われる。そうなると自分の体は大事にされていない、体の決定権は自分にはないと感じ、自分の性的な境界線を決めるのが難しくなっていく。そういう社会ではないかと。
フォーラムの内容について今回のテーマは「男児・男性の性暴力被害」とされています。わざわざ「男児 」という表現を入れたのは、特に子供(児童)に対する性暴力被害について、被害の深刻さ、被害者意識の希薄さ、救済の困難さが顕著であり、その対策に被害者支援の担当者は苦慮しているという現状を何とか打開したいという願いからです。
全国被害者支援ネットワーク(以下ネットワークという)の加盟団体である、各地の犯罪被害者支援センターは(計48 団体、以下センターという)、犯罪被害者ご本人、ご家族、ご遺族、ごきょうだい、関係者等(以下犯罪被害者等という)に対し、無料で支援を提供しています。センターが2023 年度に行った支援活動と、センターの組織体制についてご報告します。
私は、犯罪被害者等施策推進会議委員を2021年5月に任命され全国被害者支援ネットワーク(NNVS)の理事として第4 次犯罪被害者等基本計画会議途中から参加しています。現在第4 次(2021〜2026 年)基本計画策定中に早急に検討すべき項目があると自由民主党PT より検討内容が施策推進会議に提言されました。会長である岸田総理大臣からは1年をめどに検討するよう発表が2023 年6月6日にあり同年9月より8 回の推進会議を行ってきました。1,犯罪被害者給付制度の抜本的強化に関する検討2,犯罪被害者等支援弁護士制度の創設3,国における司令塔機能の強化4,地方における途切れない支援の提供体制の強化5,犯罪被害者等のための制度の拡充以上の5 項目が提言され、私は「地方における途切れない支援の提供体制の強化」の構成委員として参加し、全国被害者支援ネットワーク理事、支援員、犯罪被害者の立場として発言をしました。