支援員・相談員の人材育成
全国で支援活動にあたっているのは、
専門的な研修を受けたボランティアたちです。
ボランティアが支える活動
犯罪被害者とその家族への主な支援活動は、「電話や面接による相談」と「直接的支援(裁判所・警察などへの付き添い、日常生活の手助け)」です。活動は全国48の加盟団体に所属する1636名の支援従事者によって支えられ、その多くは各々の団体から「犯罪被害者直接支援員」や「犯罪被害相談員」として認定・委嘱されています。「犯罪被害者の方たちの力になりたい」「寄り添って支えたい」そんな熱意と、研修で身につけた専門的なスキルとノウハウをもとに被害者支援活動に取り組んでいます。
被害者支援センターに所属
犯罪被害相談員
被害者支援のプロとして
公安委員会の認定を
受けた相談員
(1団体あたり約14名)
犯罪被害者直接支援員
研修や支援経験により
専門性を高め、
直接的支援に従事
(1団体あたり約23名)
合計 1636名
(2024年4月1日現在)
犯罪被害者直接支援員
「犯罪被害者直接支援員」は、全国の加盟団体によって各々一般募集され、「養成講座」や「養成研修」を経て認定・委嘱されます。
養成講座では、①犯罪被害者が受ける心身や日常生活への影響、被害者支援の歴史と現状、刑事・民事手続きの流れ、行政や法曹、医療など他機関等における支援の状況などの基礎的な知識から、②傾聴や面接の仕方、電話相談のロールプレーイング、被害者の方々への接し方、寄り添い方といった実技を学びます。同時に、被害者の苦しみや悲しみ、悔しさや怒りなど心情への共感を深め、支援活動の意義や重要性を体得します。
こうして認定・委嘱された「犯罪被害者直接支援員」は、各団体に所属して電話相談や直接的支援に従事するほか、広報・啓発活動にも参加します。そして定期研修やブロック研修、全国研修などを経て、支援の経験を重ねながら“被害者支援のプロ”として専門性を高めていくのです。
2024年4月現在、「犯罪被害者直接支援員」は全国に1149名(1団体あたり約23名)在籍しています。
犯罪被害相談員
全国の加盟団体の多くは、犯罪被害者等給付金の支給に関する法律に基づき、各都道府県公安委員会から「犯罪被害者等早期援助団体」の指定(北ほっかいどう被害者相談室は未指定)を受けています。ここで「被害者等に関する相談に応ずる」業務に従事する者を「犯罪被害相談員」といいます※①。
資格要件は、25歳以上の①人格、行動に社会的信望がある者 ②職務遂行に必要な熱意と時間的余裕がある者 ③生活が安定している者 ④健康で活動力を有する者とし、なおかつ相談業務におおむね3年以上従事していることなどが挙げられます。(同規則第5条)※②。
つまり「犯罪被害相談員」には、被害者支援のプロとしてふさわしい人格とキャリア、そして専門性が求められるのです。
2024年4月現在、公安委員会の認定を受けた「犯罪被害相談員」は全国に697名(1団体あたり約14名)在籍しています。
※①犯罪被害者等早期援助団体に関する規則第1条
※②同規格は「犯罪被害者直接支援員」についても25歳以上で上記①〜④を満たす者
認定NNVSコーディネーター制度
犯罪被害相談員や犯罪被害者直接支援員の育成において指導的役割を果たすのが、「NNVS(National Network for Victim Support=全国被害者支援ネットワーク)コーディネーター」です。犯罪被害相談員として豊富な経験をもち、かつ講師としても実績を積んだ者の中から、厳しい資格考課を経て認定されます。 2024年9月現在、全国被害者支援ネットワークでは14名のNNVSコーディネーターを認定しています。
全国研修会での認定NNVSコーディネーター認定式
- 1:
- 全国研修・ブロック研修・各センター研修などで講師などの指導的な役割を担う。
- 2:
- 複数の都道府県にまたがる被害者へ支援センター間の調整を行って円滑な支援に繋げる
- 3:
- 大きな事件や災害に際しては、認定NNVSコーディネーターで構成される「広域・緊急支援チーム」がコーディネートを行う
研修事業
全国被害者支援ネットワークでは、被害者支援のさらなる充実を目指し、人材育成に力を入れています。
(1)犯罪被害相談員・犯罪被害者直接支援員の質の向上研修(中級・上級)
民間被害者支援団体における研修カリキュラム・モデル案(内閣府)に基づき、①階層別(犯罪被害相談員/犯罪被害者直接支援員)の人材育成、②支援能力の質的向上、③参加者間の情報交換などを行っています。
(2) 犯罪被害相談員・犯罪被害者直接支援員の質の向上研修、課題研修(上級)
犯罪被害者支援の事例検討、電話相談のロールプレーイング、地方裁判所見学などを通して、人材スキルのベースアップを図ります。
(3)全国研修会
全国被害者支援ネットワークが主管・主催する、加盟団体の被害者支援関係者などに向けた全国統一の研修会です。また、行政関係者、警察関係者、法テラスなどの出席者に対して全体会および一部の分科会を公開しています。
2014年度全国研修会では、全体会で、パネルディスカッション「犯罪被害者支援の回顧と展望」を行い、日本における被害者支援の原点ともいえる方々の生の声を聞いた他、2日間とおして14コマの講義を開催しました。
パネルディスカッションの中での、内閣府犯罪被害者等施策推進室、安田貴彦室長による講演
(4)コーディネーター研修
(5)NNVS認定コーディネーター資格考査・認定
NNVS認定コーディネーター規則に基づき、認定委員会を開催して資格考査を実施します。
(6)自助グループ運営・連絡会議
内閣府共生社会担当助成事業です。被害者遺族の悲嘆やケアに関する講義などを通して、被害者の回復のための自助グループを支援するファシリテーターを育成します。