
全国被害者支援ネットワークは、欧州における先進的な被害者支援の取組の実態を学ぶため、フィンランドとイギリスで「第二回海外調査事業」を実施しました。10 年前の平成28(2016)年の2 月から3月にかけて実施した一回目の海外調査事業は、欧州における先進的な被害者支援の取り組みの実態を学ぶためイギリスとドイツの関係団体を視察。多くの貴重な情報を得て、冊子として刊行しました(「平成27年度海外調査事業(イギリス・ドイツ)活動報告書」)。その内容は日本の被害者支援のために活用され、被害者支援活動の充実に相当程度寄与したものと推察されます。

我が国における被害者支援は、被害者の声を真摯に受け止めた関係機関の努力により、この数十年で飛躍的な進歩を遂げ、中には我が国特有の支援策も策定されているとの評価もあります。とはいえ、なお必要とされる支援は多いと指摘され、残された課題も少なくありません。そこで、当ネットワークは、第5 期5年計画の中に、その後さらに発展を続けている海外の被害者支援の実態を把握し、我が国における犯罪被害者支援活動の進展に役立てる項目を立てました。

令和4 年(2022 年)6月、刑法等一部改正法(刑事収容施設法、少年法、更生保護法等の改正が含まれる)が成立・公布された。改正法は、受刑者等(在院少年等を含む)につき、被害者等(犯罪により害を受けた者およびその家族または遺族)から、被害者等の心情等(被害に関する心情、被害者等の置かれている状況または当該受刑者の生活及び行動に関する意見)を述べたい旨の申出があったときは、原則として、当該心情を聴取するものとした。また、被害者等から聴取した心情等について、受刑者に伝達を希望する旨の申出があったときは、原則として、伝達しなければならない。さらに、刑事施設の長は、矯正処遇を行うに当たって、聴取した被害者等の心情を考慮しなければならない(刑事収容施設法85 条、103 条3 項・4 項、106 条3 項、少年院法23 条の2 第2 項、24 条4 項、44 条3 項)。改正法の被害者等の聴取・伝達制度の目的は、被害者等の心情等を十分に配慮するとともに受刑者等の改善更生に資することである。改正法の意義はどこにあるのであろうか。

令和5(2023 年)年12 月1日から、刑の執行段階等における被害者等の心情等の聴取・伝達制度の運用を開始しました。本制度は、矯正職員が、これまで接する機会のあまりなかった、現に収容している受刑者または在院者(以下「受刑者等」と表現します)の事件に係る被害者や御遺族の方々に直接向き合うという新たな施策であること等を踏まえ、矯正局において、有識者から構成される検討会の開催、担当職員に対する集合研修の実施など、円滑な制度の導入に向けた各種準備を進めてきました。本稿では、矯正施設において新たに運用を開始した本制度の概要及び運用方法等について、紹介させていただきます。

全国被害者支援ネットワーク(以下「ネットワーク」)と全国48 の被害者支援センター(加盟団体)は、2018 年4月1日から犯罪被害者等電話相談事業を、全国共通電話番号(ナビダイヤル)0570-783-554で開始をしました。全国の被害者支援センターで開設していない平日の早朝、夜間と土日、祝日(12/29 ~1/3 除く)の電話相談を、ネットワークの「犯罪被害者等電話サポートセンター」(以下「電話サポートセンター」)で対応しています。