
「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者」は、2001年に危険運転致死傷罪が創設されるまでは、刑法211条の業務上過失致死傷罪によって処罰されていました。法定刑(懲役・禁錮)の上限は5年です。危険運転致死傷罪は、悪質無謀な運転によるもので、故意犯の殺人・傷害に近いような事例に対処するために設けられました。法定刑の上限も15 年とされ、現在では20 年となっています。また、悪質無謀な運転自体は、道路交通法違反として処罰されます。飲酒運転については、酒気帯び運転が「2 年以下の懲役又は5 万円以下の罰金」とされた1970 年以降、2001年と2007年に法定刑の上限が引き上げられて、現在は、酒気帯び運転(身体に保有するアルコールの程度は、血液1ml につき0.3mg 又は呼気1リットルにつき0.15mg)が3 年以下の懲役又は50万円以下の罰金、酒酔い運転(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態)は5 年以下の懲役又は100万円以下の罰金で処罰されることになっています。これによって、飲酒運転の取締件数は減少し、それに伴って、交通事故死少数の数も大幅に減少しました。

令和5(2023)年性犯罪に関する改正刑事法の施行
からちょうど2 年経ちました。明治40(1907)年に刑
法が成立してから116 年ぶりの大改正であり、刑事訴訟法の改正、盗撮に関する罪の新設等もなされました。課題は残りますが、刑罰法規としては性被害の実態にようやく追いついてきたと思います。

警察庁おいては、昨年9月から12 月にかけて、全国を8 ブロック(北海道、東北、関東、北信越、東海、近畿、中四国、九州)に分けて「全国犯罪被害者等支援実務者会議」(以下「実務者会議」という)を開催した。実務者会議は、対象を市区町村まで拡大した全国規模の犯罪被害者等支援に関する研修事業としては警察庁初の試みであり、関係機関・団体の担当者、特に台風の影響により開催が延期となった九州・中四国ブロックの方におかれては、参加者の調整や旅費関連の事務が新たに生じるなど、大変なご苦労があったことと拝察する。また、私自身が北海道警察からの出向者で支援の現場の慌ただしさを痛感しており、改めて、実務者会議にご参加いただいた方や関係事務にご尽力いただいた方に感謝申し上げる。本稿では、実務者会議の開催概要や関係機関・団体に対するアンケート調査の結果を紹介しつつ、開催に当たっての所感を述べることとしたい。

2018 年以降、被害者支援については、大きな改革の動きが生じてきた。ひとつは、40 近くの都道府県が犯罪被害者支援に特化した条例(以下では特化条例という)を制定したことである。これによって、これまでの支援が見直され、数多くの新しい提案も見られるようになった。いまひとつは、政府が、自民党の提言を受けて、犯罪被害者等施策の一層の推進を図ったことである。その中で、「地方における途切れない支援体制の強化」という課題が取り上げられて、検討が重ねられた。そして、2024 年4月に示された有識者検討会の取りまとめ(以下では、「取りまとめ」と略称する)においては、「地方における途切れない支援の提供体制の構築」が提言され、支援を一元的に提供するワンストップサービスの実現に向けた動きが始まった。警察庁は、「取りまとめ」を受けて、2024 年9月に「ワンストップサービス体制 構築・運用の手引き」(以下では「手引き」と略称する)を作成し、公表した。

性犯罪の被害者は女性と思われがちですが、昨年大きく報道された芸能事務所の性虐待事件で、多くの若い男性たちが性被害を受けていたことが明るみに出ました。男性は心身に傷を負い、悩みを深めても相談をためらう傾向があるといいます。パネルディスカッションでは、男性被害の実態を踏まえて、男性が声を上げやすくする手立てや、これまで経験の少なかった支援のこれからを考えました。