私は精神科医ですので、そうした視点を含めて30 年をふりかえりたいと思います。犯罪被害者支援の領域は多様です。法律や制度に基づく支援、皆さま方のような民間団体や地域の自治体、学校、職場、さらに医療や精神保健、心理の専門家の支援。弁護士による刑事・民事の手続き支援も必要ですし、福祉の担当者、教員も支援にかかわっています。
「ザ・ライトハウス(The Lighthouse)」は、イギリスで最初のバルナフス(Barnahus、子どもに優しい司法支援拠点)です。これはロンドンにおける児童性的虐待支援サービスの見直しを受けて導入されたもので、このモデルを試験的に実施・検証することが推奨されました。当時の資金は、内務省(Home Office)、国民保健サービス(NHS)、ロンドン市長警察犯罪局(MOPAC)、および一部の慈善団体から拠出されました。3 年間のパイロット期間では、多くの関係機関が連携しました。児童福祉、心理・治療サービス、警察官、身体的健康を担当する医療チームなど、多様な分野の専門家が参加しました。
本レポートは、イギリス・ロンドンに設置された児童性的虐待/性暴力被害者支援の先進拠点「ライトハウス(The Lighthouse)」への視察で得られた知見を整理し、日本の関係機関および専門家への情報提供を行うと共に、国内における被害児支援体制の構築に向けた示唆を得ることを目的とする。
「30年をふりかえって」ということですが、犯罪被害者支援の視点というのは多様ですから、今までの歩みを精神科医という私の立場から見てどうかということをお話ししたいと思っております。また、犯罪被害者あるいは様々な暴力被害に遭った方の治療という点ではPTSDの治療が非常に大事になってまいりますので、研究者の立場からも、ふりかえりができればと思っております。さらに、30年のことをふりかえってみると、大きく制度が変わる時には当事者の力が中核になっています。フォーラムのテーマは「すべての被害者を『ひとりにしない』支援」ですから、どのような現状と課題があるのかということもお話しできればと思います。