お兄ちゃんの命
公益社団法人被害者支援センターとちぎ
自助グループ「あかしの会」
R・K
「犯罪被害者の声 第19集より」
あなたの人生で大切な人と会えるのは、あと何回だと思う?
大切な人達皆も自分も命には限りがある。
その命には、有効期限がないから、明日突然亡くなる命もある。 いつまでもあたり前に存在してくれる訳じゃない。
一緒にいられる時間も永遠ではない。
そんな風に考えられるようになったのは、25年前に、突然お兄ちゃんを奪われたから。
家族にも友人にも誰にでも「バイバイ」と声をかける。
挨拶みたいな言葉が、一生会えなくなるまでバイバイになるとは、 誰も想像なんてしない。でもそれが本当に起きてしまったことに向き合い理解し受け入れるまで、どれだけの年月がかかってしまっただろう…。
お兄ちゃん。会いたいよ。会いたいよ。
何年経っても、今すぐ会いたい気持ちは変わらない。
五歳離れたお兄ちゃんはしっかり者で私は甘えん坊。
常に守られ、手を引かれ、時には怒られ泣かされる。
けどいつも隣にいてくれた。どの写真を見返しても…。
会いたい人には会えるうちに会いに行って、伝えたい思いが色あせる前に伝え続けて生きていきたい。
目の前にいる大切な存在を深い愛で包み込んでいたいなと私は強く思う。
お兄ちゃんにはそれができなかったけど。
私に対してのお兄ちゃんの愛情は25年経っても
色あせることなく、私の心の中で生き続けています。
大好きだよ。お兄ちゃん。
『生きていることが何よりの幸せだ。』とお兄ちゃんから教えてもらいました。
家族の願いも、
お兄ちゃんが一番望んでいたことも
「無事に帰ること。」
そんな願いも届かず、帰って来たお兄ちゃんは変わり果てた姿だった。
信じられない。信じたくない。
何が正解で、何が真実なのか分からない。
一生、終わりのないかくれんぼをお兄ちゃんとしているようだった。
「もういいよ!!」「ここにいるよ!!」って早く言ってよ。
いつもの笑顔で出て来てよ。私を1 人にしないで…。
思い出がふいに溢れ出して止まらなくなる涙…。
兄妹として共に過ごした日々が脳裏を巡る。
聞こえるよ。私を呼ぶお兄ちゃんの声。
また会えるよね? お兄ちゃんの温もりと優しさに触れて安心したいよ。
離れていても探してしまう…お兄ちゃんという存在…。
でもお兄ちゃんが私の隣に居た時間は永遠に戻らない。
もがいて、もがいて、叫んでも、顔を見ることも、手を繋ぐことも声を聞くことさえもできない。
同じ空、同じ星の元で、私達が兄妹になれた奇跡。
先にお兄ちゃんは星になってしまったけれど、地面とお空はいつも向き合っているから、見上げれば、いつでも繋がっているよね。
夜になると気付けばいつも探してしまう一番星…☆
お兄ちゃんの笑顔を思い浮かべて、星空に願う…。
届いているかな? 返事はないけど、必ず見ていてくれる。
お兄ちゃんが残した全ての想いと思い出を握りしめて、今日も私は空を見上げます。
お兄ちゃんが、私の隣から居なくなって、25年が経ちました。
私が生きている毎日の中に、「お兄ちゃん」という存在が消えたことは、一度もありません。
でも、お兄ちゃんに教わったことがたくさんありました。
「生きていることは当たり前なんかじゃない。」1 日1 日が凄く特別な日…。常に全てのことに感謝しなければならないこと。
大切な家族の元へ無事に帰れること。愛する人に「ただいま。」と言えること。落ち着く我が家に帰って来られる1 日の終わりを、どうかどうか何よりもの幸せなのだと噛み締めてほしい。
何気ない日常に花束を…。
明日が訪れてくれる奇跡に感謝を…。
お兄ちゃんが居なくなった25年前のあの日、私はまだ幼かったから何もしてあげられなく、何も伝えることができなかった。
25年前に戻れたら、一番先に言いたいこと…。
「私のお兄ちゃんとして生まれて来てくれて、一緒に遊んでいつも側に居てくれて、本当にありがとう。命の重み、命の大切さを改めて気付くことができたよ。世界でたった1 人の自慢のお兄ちゃん。大好きだよ。お兄ちゃんが名付けてくれた「R」という名前…一生変わらないこの名前を、大切にしていくからね。」
お兄ちゃんが居なくても「生きる強さ」目には見えなくてもいつも傍に居ると「信じる力」孤独の辛さも愛することの意味も全部…。私が私らしく「進んでいく力」を与えてくれた、大好きなお兄ちゃん。
もう一度、もう二度と戻れないとしても、私にくれた10年間の愛を私の命が尽きるまで、一生忘れない。
平成12年9 月25日(月)
こんな日が目の前に来るなんて…
思いもしなかった離れるなんて…
今、私がお兄ちゃんにしてあげられることって何かあるかな?
25年前に戻れるなら、戻りたいな。
あの頃のように笑っていたいよ。
お兄ちゃん…。 死は生まれ変わり、新たなスタート。
居なくなっても、居なくならない。
離れていても、必ず繋がっているから…。
ずっと忘れない。大好きだよ。
