息子の笑い声が消えた日
公益社団法人秋田被害者支援センター
自助グループ「交通死亡事故被害者の会」
T・S
「犯罪被害者の声 第19集」
平成二十年十月、軽乗用車と大型トラックが衝突しました。軽乗用車の助手席に同乗していた二十三歳の息子は、約十一時間半後に脳挫傷のため死亡しました。現場は信号のない見通しのよい交差点で、軽乗用車側に一時停止の標識があったのですが、左右の安全を確認しないまま進行し、左から来たトラックが軽乗用車の左側面に衝突したという事故でした。
息子は明るく人を笑わせることが好きでした。息子は介護士でした。仕事も三年目になり、ようやく慣れはじめて、ようやく自信が持てるようになっていました。結婚の約束をした人もいて、息子の人生は夢と希望に満ちていたと思います。何もかもがこれからでした。
たった一人の息子を亡くした私たちに、夢も希望もありません。夫は仕事から帰ってくると、食事の前に一本のビールを持って来て、息子のコップと自分のコップに注いで、仏壇の前で飲むのが毎日の日課です。息子の写真を見ながら今日の出来事やいろいろな事を話します。でも最後は、どうして息子の笑い声が聞こえないのか、どうして走り廻る息子の姿を見る事が出来ないのか、どうして息子にさわる事が出来ないのか、どうしてこんな事になってしまったのか、どうして、どうしてと思ってしまいます。
息子の事故は裁判になりましたが、全くはじめてのことでぜんぜん分かりませんでした。そんな時、被害者支援の皆さんに会えて、判決の日に裁判に行くことが出来ました。判決を聞けた事、傍に居てくれた事、どんなに心強かったかわかりません。本当にありがとうございます。感謝しています。
加害者への思いは、書ききれません。最低限の交通ルールである左右の確認や一時停止標識で止まること等を守っていれば、こんな事故はあり得ませんし、起こらなかったと思います。思いがけない事故が起こる事があるのです。
交通事故は人ごとだと思わず、もっと身近に感じてほしいと思います。通い慣れた道こそ、再度確認してほしいと思います。
