―犯罪被害者の声(要約)―
田原さん(小さな家)
息子が亡くなって15年。当時の私は色々な機関へ足を運びましたが、どこへ行っても法律的なアドバイスをうけることも被害者の心情を理解してもらうこともできませんでした。このような辛い中、全国で初めて被害者支援に立ちあがった小さな家の大久保恵美子さんに励まされ勇気付けられました。小さな家で産声をあげた被害者支援の活動が実り、被害者の心情を汲み取った法の整備が整い、遺族の立場にたった裁判が行われるようになったことを嬉しく思っています。

高倉年美さん(小さな家)
13年前に最愛の娘を亡くした、その瞬間から我が家はめちゃくちゃに変わってしまいました。そんな私たちを救ってくれたのが、この小さな家の仲間たちです。このメンバーは毎日のように会っているわけではありませんが、今日、皆の顔を見た瞬間に、安心感を覚えて暖かい気持ちになれました。皆に助けられたおかげで、私は今、地域の中で被害者の実態を訴えることができるまでになっています。今後も皆に支えられて自分のできることをやっていきたいと思います。

大久保純也さん(小さな家)
小さな家は最初、飲酒運転に反対する市民の会としてスタートしました。当時の日本には、被害者支援について参考になるものがなかったので、アメリカのNOVA(全米被害者援助機構)やMADD(飲酒運転に反対する母の会)の理念を参考に、取り組んできました。また、日本の犯罪被害者支援を促進しようと、たくさんのメディアに寄稿や出演をしてきました。と同時に、小さな家の会のメンバーは多くの二次的被害を受けることになってしまったのですが、こうして少しずつ被害者支援が日本に広まってきたことで、今はやってきてよかったと思っております。みなさんにお願いしたいのは、法律が通ればそれで終わりではなく、新たなはじまりであると考えていただきたいということです。そして、私たちと連携を深めていただきながら一層被害者支援を発展させていただきたいと考えております。

鬼澤雅弘さん(NPO法人交通事故後遺障害者家族の会)
私の兄はセンターラインをオーバーしてきた飲酒運転の車両にはねられ、意識不明の重体になりました。事故後、加害者による嘘の説明、市役所幹部である加害者の父親による圧力、警察のずさんな捜査などで、私達家族は身も心もずたずたにされました。交通事故は決して他人事ではありません。交通事故では被害者が死亡あるいは重傷で事故状況について証言できない場合、被害者や遺族を排除した中で捜査が行われるため、結果として「死人に口なし」になります。被害者遺族は当然、事故の真実・原因究明を求めますが、実際は加害者天国といわれるほどの捜査・裁きに泣き、深刻な二次被害を受けるのです。捜査の透明性・公平性の確保、情報開示請求権や犯罪被害者の真相を知る権利の保障、被害者や当事者への交通事故調書の早期開示により、二次被害を防ぎ、裁判の迅速化につながると思います。どうか犯罪被害者のやり場の無い悲しみ、苦しみ、怒りを理解してください。

村井玲子さん(社団法人被害者支援都民センター自助グループ)
平成12年10月14日、息子は練馬区光が丘の路上で、少年たちに突然金属バットで殴りかかられ、逃げようとしたところを少年に刃物で背中を刺され、殺害されてしまいました。息子は私にとって生きがいで、なくてはならない子どもでした。私は未だに息子の死を認めたくはありません。ただ、民事裁判の中で、加害者少年三人とその親との面会が実現したことで、前進できたような気がします。しかし、修復ができたわけではありません。私は今でも仕事をなんとか続けていますが、決して元気になったわけではありません。被害者遺族は何年たっても気持ちが癒えることはなく、無理をして生活しているということを社会の人々に知ってほしい。そして、加害者少年は法律が守ってくれる部分があるが、被害者遺族を守る法律は今まで何一つなかったということを知ってもらいたいのです。被害者遺族のことを考え、法律で守られるように社会も司法も変わっていってほしいと思います。

内山孝子さん(北海道交通事故被害者の会)
平成8年4月、携帯電話に夢中になった運転手の前方不注視により、主人を亡くしました。そして、事件後の急激な生活の変化への不安で、私はぎりぎりの精神状態になりました。先ごろの道交法改正で、運転中の携帯電話使用が罰則の対象になりましたが、イヤホンマイクを使えば規制からはずされるのです。ここには、一瞬の安全確認違反が相手の命まで奪ってしまう重大な犯罪であるというとらえ方がありません。背景にあるのは車優先の社会であり、その犠牲者は子どもや高齢者など弱い人たちなのです。また、捜査段階における加害者言いなりの事故調査が作られ、遺族や当事者に事故原因や真相が明らかにならないという当事者と捜査機関の著しいギャップが交通犯罪被害者に二次的被害をもたらします。被害者の会は交通事故調書の早期開示を求めると同時に、事故原因解明と公正捜査のため、捜査の科学化、ドライブレコーダーの義務化など求めています。
私たちは望んで被害者遺族になったわけではありません。故人の名誉と命の尊厳から交通犯罪を軽く扱って欲しくないのです。尊い犠牲を無駄にせず、社会正義が実現されることを強く望んでおります。

青木和代さん(NPO法人犯罪被害者支援の会アピュイ)
息子は平成13年3月31日、少年法改正の前日に17歳と15歳の加害者に2時間あまりのむごい暴行を受け脳死状態になり、4月6日に亡くなりました。交通事故にあい、半身不随となり、壮絶なリハビリを乗り越えやっと歩けるようになった息子を脳死状態になるまで殴り続けて殺したのです。息子の無念の思いを母親として改正少年法ではじめて意見陳述をしましたが、加害者は旧法で裁かれました。加害者が少年という年齢で裁かれ、罰をうけるわけでもなく、一、二年の矯正教育で社会に出て普通に暮らせるのはおかしいと思いませんか。何人の子どもの命が奪われたら国や法律の専門家は考えるのでしょうか。私は加害者が退院したこともどこの少年院に入っていたかも知りませんでしたし、逆恨みされるのではという不安から毎日びくびくしながら生きていかなくてはなりません。日がたてば癒されるということでもなく、こんなむごい現実を受け止められず、日が経つほど寂しさで胸が締め付けられます。それでも、生きることができなかった息子のために、強く生きたいと思います。
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